SHIMANE UNNAN-CHALLENGE

これまでの雲南市(雲南市ブランド化プロジェクト)

歴史の幸

歴史の幸「菅谷たたら山内」『語り部』~菅谷たたらの歴史物語⑥~

    
               3月の菅谷たたら山内
       今年の菅谷たたら山内は、比較的雪が少なくてすみました。



    
       高殿内部 こけら葺きも終わって屋根裏が姿を見せ始めました。

             
かつて、山間地のあちこちで見られた炭焼き小屋 (菅谷たたら山内生活伝承館)

『語り部』木炭より
 出雲地方の製鉄経営は鉄師によって必ずしも同一ではなく、その地域や経営方針によって製炭の規模、(山子とよばれた炭焼作業者の)雇用、(炭)の取得方法など異なっていました。鉄山(炭山)が少なく(炭の)購入を主体とした方法(経営)や、(炭焼を)専属の焼子で賄うなど業態(経営方法)は同一ではありません。購入した木炭はどうしても量目を考えた生産である(重量が重くなる)ので木炭が堅くなり、鉧吹には不向きで製鉄に響くことになります。
 一方、田部家では鉄山が広大であったので炭材を惜しまず、炭窯で大火で焼き、製鉄向きの良炭が焼かれていました。
 特に鉧吹には軟らかい木炭が必要でした。(木炭が軟らかいと)木炭の燃焼が速く、炭も速く炉低(下方)に下がります。炭に乗っている(着いている)砂鉄が早く鉧に入るほど良質の鋼が多量に造られます。
 田部家のたたら用炭焼は、(鉄山の)全山が専属の焼子(山子の仕事)であって良炭の生産を厳しく指導されていました。―中略―
 鉄の質や量目は炭の良し悪しで決まるので炭焼(の仕事)は厳しく、炭焼作業は煙などで窯の内の状況を「勘」で把握しなければならず失敗することもありました。(炭焼が)一人前になるのには十年はかかると言われていました。

                           
   木頭(きがしら) (菅谷たたら山内生活伝承館) 

 菅谷たたらで鉧吹に使用する木炭は最上炭でありました。たたら(場)に持込まれる炭は上炭であっても、木頭(きがしら―炭の芯が完全に炭になっていない不良炭)は入念に調べて除外しなくてはいけませんでした。操業中に炭焚きさんが「えぶり」(炭を寄せ集める道具)で炭を「すんどり」に入れる時に、丸太のままの炭は「えぶり」で叩き割り、割ったほうを上にして砂鉄が多く炭に乗るようにします(鉧吹の場合)。(炭を炉に投入する際に)炭の中が赤いものは除きます。赤色のものは炭が幾分硬く、炭の下りが遅く悪いガスも出るので鉄の質を悪くします。そして鉄の量も少なくなるので村下は(木頭を)嫌っていました。(もし)不注意で(納入された木炭に)木頭が混じっていた場合は罰則があり、仮に木頭が20㎏あればその倍の量40㎏が(納めた量から)差し引かれる定めでした。

               
すんどり 炭を炉に投入する際の入れ物(菅谷たたら山内生活伝承館)


 炭焼は(仕事が)厳しかった反面、(炭焼から帰る際には)背負って持ち帰った炭の運賃があったり、その他でも山子(炭を焼く労務者)は待遇が良かったと言われていました。
 以下に故堀江村下が直接著者に語ったお話をご紹介します。内容は前述と重複するところもあります。
 たたら用の炭は、「大火でさっと焼いたのが良かった」・・・上手に焼いた炭は良く燃えて(炉の下方に)速く下るので鋼の質もよく量も多めにできました。硬い炭は燃えきらないので下りが遅いため、粉鉄(こがね)が溶け過ぎて鉧が小さかった。鉧吹は苦労が多い。粉鉄の質もありますが、炭の良し悪しが鋼の質や量目に大きく関係します。
 菅谷たたらでは炭のことは「めんだあ」でした(厳しく吟味しました)。日頃は皆の面倒を見ておられるやさしい山配さん(たたらの原材料調達や集落の暮らしの全般を取仕切る責任者)も、炭取りの日は人が違ったように人が悪くなられた
炭は山内の山子が焼いていて外からは買いませんでした。夏場、六月の梅雨から最夏の盆終わりまでの二ヶ月間はたたらが休みで、たたら内で働いている者は炭焼をしていました。それぞれに条件の良い山で炭を焼かせてもらっていました。

                   
  昭和44年(1969)に行われた試験操業の際に集められた木炭
後ろに積んである炭束は一束が15㎏あります。かつてはこの炭荷5~7個を
背負って運搬していました。(菅谷たたら山内生活伝承館)(朝日光男氏談)


『語り部』には鉧吹の際、一夜(一回)の操業で鉧の出鉄量が千貫(3,750㎏)以下になると損になり、そんな時には村下は支配人(番頭)に断りをしたとあります。村下がたたら炭に対していかに気を配っていたかがわかります。
※たたら製鉄には鋼が含まれる鉧(けら)を造ることを目的とした鉧吹と、銑(ずく―銑鉄)を造ることを目的とした銑吹の二通りの吹き方があります。
次回は、残された重要な原材料である窯土についてお話します。

記事一覧

もっと見る

雲南ソーシャルチャレンジ大発表会

Facebook

雲南市に関係するサイト