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歴史の幸「菅谷たたら山内」~菅谷たたらの歴史物語⑮~



保存修理工事が終わり、屋根に水桶と梯子が取り付けられた高殿
(現在、水桶と梯子は取り外してあります)

 久々の更新となりました。前回の更新から四か月がたちましたが、その間に高殿は保存修理工事を終え、昨年11月30日から一般公開が再開されたところです。教育委員会ではその間、保存修理工事に伴う発掘調査を行ってきました。民俗文化財なのに発掘調査とは不思議に思われるかもしれません。そこは全国に現存例が一つしかない菅谷高殿です。高殿内部の構造や外部にどんな施設があったのかなど不明なことが多いのです。これらの謎を解くために高殿の小鉄町や高殿周囲の発掘調査を行いました。そこで今回は、前回の続編をひとまずおいて、この発掘調査の様子や調査からわかったことをお伝えします。

高殿小鉄町(こがねまち)の発掘調査
 高殿の小鉄町とその両脇にある炭町との境は壁で区切られています。その壁柱の修理に伴って小鉄町が構築された時期などを調査するため、小鉄町の真ん中を縦方向に幅50㎝のトレンチ調査坑を掘りました。ところで菅谷高殿の小鉄町は手前が高くて奥が低くなり、床面が傾斜していることをご存知かと思います。トレンチを掘ると土層の断面が分かりますが、この調査で以前の小鉄町は床面がもっと低くて平らであることが分かりました。また、現在のように床面が嵩上げされたのは徐々にではなく、一度に嵩上げが行われたことも分かったのです。さて、調査中に驚きの情報が入りました。この嵩上げ工事をご存知の方が健在だったのです。
 大正10年を最後に途絶えていた菅谷高殿の火は、昭和14・15年の2年間だけ復活し操業されました。小鉄町の嵩上げ工事はこの操業に際して行われたのでした。このとき床面には三和土(たたき)が敷かれています。三和土が施されると床面はとても固くしまりトレンチを掘るのも楽ではなかったのですが、これを埋め戻して原状復帰するのはさらに大変でした。掘り上げた土は容積が数倍に膨れ上がっていたからです。埋め戻し作業は、山内を知り尽くしておられる朝日氏にお願いしたのですが、土をカケヤで何度もたたき締めて元どおりにしていただきました。



小鉄町のトレンチ 右側(小鉄町前方)に古い「中押立て柱」の柱跡が見えます

高殿外周の発掘調査
 あまり気が付くことはありませんが、小鉄町の奥の壁に扉がついていて、その斜め後ろには「化粧の池」があります。『語り部』には、夜が明けると高殿に鎮まる金屋子神(女神)が化粧の池でお化粧されるため、神職の巫女にあたる宇成(うなり)とよばれる女児(あるいは高齢の女性)が毎朝この扉を開けるとされています。
 実際にはこの扉は小鉄戸口(こがねとぐち)とよばれ、砂鉄の搬入口でした。この扉のある高殿西壁に沿って雨だれを防ぐ排水施設が必要となったことから、壁沿いの屋根の下の発掘調査となったのです。



発掘調査前の高殿後背 奥に小鉄戸口が見えます

 調査の結果、山から流れ出した土砂の下から壁に沿って石列が現れました。さらに石列の下からは雨落ち溝が見つかりました。溝といってもとても浅いもので、北側では岩盤を削って溝がつけてありました。雨落ち溝の下(南)側では以前の表土に大量の砂鉄が混じっていました。この土砂を念入りにふるいにかけて砂鉄を取り出していただいたのも朝日さんです。この砂鉄は現在小鉄町にたたらの原料として展示してあります。



発掘調査後 雨落ち溝跡に配置された石列が現れました

 高殿入口に向かって右手の壁が北壁になります。北壁沿いには雨落ち溝は設けてありませんでした。北壁沿いの地中には水車からたたら炉に風を送る送風土管が通っているはずであり、想定通り、地面の下40㎝から現れました。土管は外径が34㎝もあり、風が炉まで届くのにどれだけの風力(風圧)が必要かと驚かされます。
 明治~大正期に製作されたこの土管には製作会社の刻印がありました。島根県を通じて調べていただいたところ、この土管は愛知県の常滑製で、現在もこの会社は実在していることが分かりました。また、土管から5m東に離れたところからは内側で90×60㎝、深さ70㎝のモルタル製の水槽も見つかりました。記録によると水槽が見つかったあたりには、かつてたたらに用いる道具を洗った「道具洗い池」があったとされていて、水槽との関連が注目されます。



土管のつなぎ目は粘土でしっかりふさがれています



土中に埋まっていたモルタル製の水槽

このように発掘調査から新たな発見もあり、わずかではありますがこれまでわからなかった過去の高殿の様子を伝えてくれました。

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