SHIMANE UNNAN-CHALLENGE

これまでの雲南市(雲南市ブランド化プロジェクト)

人の幸

第8回 有馬美彌子 さん

「食」へのこだわり、人と土地との縁を感じて
室山農園 杜氏 有馬美彌子 さん

島根県大田市出身。大学卒業後、島根県立中央病院に勤務。その後オランダに渡り、帰国後農耕生活を始める。平成5年10月より木次乳業日登牧場に勤務し、平成20年よりメンバーでもある室山農園にて杜氏としてどぶろく造りに携わる。







―雲南市に来られるまでは何をされていましたか?
大学卒業後は出雲の県立中央病院でソーシャルワーカーをしていました。その後オランダに渡り、4年程暮らしました。海外は自由な空気でとてもよかったですよ。そこで、自然農法家 福岡正信さんとの出会いがあり、帰国し斐川町に畑付きの家を求め、農耕生活を始めるに至りました。

―雲南市へ来られたきっかけは?
農耕生活をしていたので有機農業に関心があったのですが、木次乳業が有機農業に取り組んでいることを知り、平成5年10月から木次乳業の直営である日登牧場に勤務しました。葡萄園は知っていましたが、まさか牧場に務めることにあるとは思わなかったです。牧場では牛の管理全般をしていました。程なく室山農園のメンバーにもなりました。室山農園は主に野菜を中心に有機栽培をしています。自分の食べたいものを作る。自分の飲みたいものを造る、基本はそれだけですが、今どぶろくの酒米作りで農薬はもちろん除草剤を使わずにやることがどれだけ労力が要るのか、今年も草との格闘になりそうです。

―どぶろくづくりも室山農園で始められたのですね。
どぶろくは自分で造る人もいるので酒税法では製造が禁止されています。そこで室山農園ではどぶろく特区を活用し、2008年12月から製造を始めました。
でも、室山農園を支えてくださる方たちが、田植えや草取り、稲刈りなどの作業の手伝いに駆けつけてくださいます。本当に感謝しています。

―古事記に由来する酒造りに挑戦されているとお聞きしました。
「八しおりの酒」はヤマタノオロチ神話で、オロチを酔わせるために造られたものです。この近くの室山の麓には釜石という「八しおりの酒」を造るときに使われた釜の跡だと伝えられる石が残っています。こういうところでそのどぶろくを造っているというのは何か縁があったのだと思います。
また、仕込みが2段3段の普通のどぶろくとは違い、8回仕込むことから「八しおりの酒」といいます。一切漉しませんし、火入れをしないのでさらにドロドロ感が出ます。神話の世界の話なので実際はわかりませんが、室山農園のメンバーである堀江修二さんが中国の書物にあった「九醞酒(くうんのさけ)」を参考にレシピを再現しました。旧暦の新嘗祭に合わせて造り始め、仕込みに1か月ほど、寝かせるのに3~4月かかります。未知のものに挑戦するということでわくわくしながら造っていました。

―出来上がってみてどうでしたか?
すごく手間がかかりましたが、香りもよく、まろやかなものができ上がりました。
しかし、手間もかかり希少なものでかなり値段は高いです。最初は売れるかどうか心配していましたが、昨年できたものはすべて完売しました。
今年は5月から販売します。720mlが5000円、300mlが2500円です。今年は去年のものよりいい出来だと思いますよ。

―反響はどうでしたか?
さまざまな反響がありましたが、やはりマスターソムリエの高野豊さんに高く評価していただいたことは本当にうれしかったです。ワインを飲みにこちらに来られていて佐藤忠吉さんが勧められた「八しおりの酒」を飲まれて絶賛されたそうです。「お酒の歴史を変えるどぶろくだ!」と。やりがいを感じました。すごいものを造っているという自信と自覚にもつながりました。より多くの人に知ってもらえる機会をつくりたいと考えています。


―今年は古事記編纂1300年の節目の年にあたりますが
今年、「八しおりの酒」を県知事に贈呈することになりました。もともとは関係なくやっていたことですが、自然に流れができ、縁を感じます。
こういうものづくりをしていると室山農園の応援団や高野豊さんなど、繋がりや縁、出会いが生まれて本当にうれしいです。これからもこの縁を大事にしていきたいです。室山には何回も行きました。八しおりの酒に挑戦する時、気概を高めるためにあちことの神社めぐりをしました。それによりやる気も高まってきました。

―最後に今後の目標を教えてください
「どぶろく」ってあまり若い人は飲まないですよね。室山農園では築130年のかやぶきの古民家を利用して郷土料理のレストランや宿泊施設をやっています。またその隣に島根県内の建材を使い土壁で作られた研修棟もでき上がりました。この建物は昔ながらの工法で作っていますが、すごく立派な木組みですので、ぜひ若い人にも見てもらいたいですね。この場所も積極的に使ってもらいたいです。室山農園が取り組んでいることも知ってほしいし、そうやって次の世代につなげていきたいです。

<編集後記>
ヨーロッパでも暮らされたことがあるという有馬さん。海外での生活など幅広いお話をお伺いすることができました。農のある暮らしがしたいということからいろいろな道のりを経て、縁あって雲南に移住し、今の生活をされています。
神話が根付く土地での仕事や、このモノづくりを通して出会う人との縁を日々実感されていることが、有馬さんの活動の源だと感じました。

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