SHIMANE UNNAN-CHALLENGE

これまでの雲南市(雲南市ブランド化プロジェクト)

人の幸

第7回 三刀屋高校演劇部

雲南市だからこそできる演劇
三刀屋高校演劇部 部長 堀江依知菜さん
これまでに5回全国大会へ出場するなど、活躍目覚しい三刀屋高校演劇部。平成23年年度の高校演劇中国大会で最優秀賞になった作品「ヤマタノオロチ外伝」の練習を見学させていただきました。普段からリアクションが良く、さすがは演劇部。賑やかで明るい雰囲気部活でしたが、その中でもとりわけ元気いっぱいな部長の堀江さんと、演劇部の顧問で、市民演劇「異伝ヤマタノオロチ」脚本・演出を務められた亀尾先生のお二人に話を伺いました。
-演劇部に入ったきっかけは何ですか?
中学生の時に「暮れないマーチ」という劇を見たことがきっかけです。すごく感動して、それで入部を決めました。

-今回の「ヤマタノオロチ外伝」で大変だったことは?
まず、大昔の人物を演じるというのが大変でした。役作りも神話などを勉強したり自分の約のことやどういう感情が起こるのか、鍬の振り方にしても軽い道具を重いように表現することなどを、みんなで話し合ったりしました。上下関係はないので意見は自由に言い合います。だから普段の部活はとてもうるさいですよ!一つの舞台を作るのにたくさんの人が関わっているので、みんなで考えて話し合うことは大事だと思います。部をまとめるのは大変ですがみんな良いものを作り
たいという気持ちは一緒なのでそれに向って頑張っています。
―見どころを教えてください!
「豊かって何?」っていうのをコンセプトにしているのですが、これはお客さんへの問いかけにもなっています。この『ヤマタノオロチ外伝』は人間のイザコザというのも組み合わせているので、そういうところの面白さも見てほしいですね。

―演劇をやっていて嬉しい時は?
幕が下りた時ですね。本番でも失敗はありますが一つ一つ落ち込まずに舞台が終わって幕が下りた時に、全体として良いものになっていればと思います。幕が下りた時に「やりきった!」と、感じるときが一番嬉しいです。

―これからの目標を教えてください
演じる舞台の一つ一つをいいものにしていきたいです。その中で進化していきたいです。それからいろいろな人に見てもらいたいです!地元の人にはもちろんですが、ヤマタノオロチの神話を知らない人にも、島根に神話が根付いているということを知ってもらいたいです。
3年生になって進路も考える時期ですが、演劇にはずっと関わっていきたいですし、卒業後も先輩として後輩の指導をしに戻って来たいと思います。高校演劇も規模が縮小しつつあるので活性化させていきたいです。



演劇部顧問 亀尾佳宏 さん
安来市広瀬町出身。雲南市在住。大学在学中から演劇をはじめ、卒業後は国語科の教諭として松江工業高校、三刀屋高校で勤務し、両校で演劇部を指導する。島根県文化奨励賞・文部科学大臣優秀教員表彰を受賞。2012年3月に上演された舞台、創作市民演劇『異伝ヤマタノオロチ』の脚本・演出を担当。

―三刀屋高校に着任された当初、演劇部はどのように活動されていましたか。
最初は2人だけでした。その2人も私が着任した初日に部を辞めたいという相談をしてきたので何とか説得して、ほかの部から人を集めて公演を行いました。これが面白かったようで部員が7人になりました。その次の年に全国大会に出て、一気に部員が増えました。今年は1年生が16名入部して38名で活動しています。だいたい10人位が毎年入ってきますね。今年で9年目になりますが、みんな素直でいい子たちばかりでした。3月の市民演劇でも松江工業も含め、卒業生が何人か参加してくれました。卒業後もこのような形で演劇に関わりを持ってくれるのはうれしいですね。

―部長の堀江さんから上下関係がない部だと伺ったのですが。
私がそういうかっちりした上下関係が好きではないというのもありますし、キャスト、照明、音響など何をするかが重要ですので学年にはこだわっていません。みんなで創っていくものですからね。自由に意見を言いやすい空気を大事にしています。

―『異伝ヤマタノオロチ』では脚本・演出を担当されたそうですが、原作との違いはありますか。
脚本を書くにあたってかなり変えたところもあります。原作は「鉄が村を豊かにしていく一方で森林・環境破壊をもたらす」というのが大きなテーマでしたが、私は”鉄の使い方”という方向にしました。鉄は”クニ”や人の暮らしを豊かにしていきますが、それが農具として使われるか、武器として使われるかで豊かさの意味が違ってきます。これは現代の科学技術による発展に置き換えて考えましたが、このような発展で得られた豊かさというのが本当に豊かか、ということで古事記が編纂されて1300年が経った現代でもう一度問い直されていると思います。古代神話をモチーフにしたものを作りながら現代にも通じるところがあるというイメージで脚本を書きました。

―古事記がテーマということで言葉や音にもこだわられたのでしょうか。
そうですね。異伝ヤマタノオロチのもう一つのテーマは「音」の世界です。古事記も音声を文字化したものであるように、それ以前の時代は想像していくしかないですよね。古事記に記された神話も、元は名もないだれかの話だったのかもしれない。このようないろいろな想像があってもいいのではないかと思います。それで今回は人と人の物語にしました。このような言葉の曖昧さや危うさ、一方では言葉の豊かさといったことも盛り込めたらという思いで脚本を書いていました。

―脚本をつくる中で大変だったことや良かったことは何ですか
脚本も稽古をしながら、役者さんとのやりとりを通して作っていきました。雲南市内外から集まった年齢も職業も多様な人たちと一つのものを作り上げるのはとても新鮮な体験でした。人のつながりが一気に広がったように感じました。
高校生の『ヤマタノオロチ外伝』も同時進行でしたので、大変でした。しまし、上演時間は違いますが、ほとんど同じ内容のものを作っていったので、それぞれを作っていく過程で様々な気付きや発見があったので、より良いものに仕上げていくことができました。また、自分の芝居を見直す契機にもなり、とてもいい経験だったと思います。

―雲南市で演劇をするということについてどう思われますか。
東京で演劇活動をされている松村武さんと一緒に雲南市内を回りましたが、行ったことがないところや知らないところがたくさんあり、恥ずかしいと思うのと同時にここは重要な土地であるという誇りも感じました。
生徒達にも自分の生まれた場所のことをよく知らない子が多くいます。高校卒業後はそのまま県外に出てしまう子もいるのですが、自分の生まれた土地の魅力を知らずに外へ出てしまうというのは大きな損失をしているような気がするんです。雲南市はそれくらい価値がある土地だと思います。
現代では世代間交流が失われつつあるといいますが、雲南市に暮らしているとそのような世代を超えたつながりがまだ残っていると感じます。このようなつながりや市民の方の理解、チェリヴァホールのような自由に活動できる場所もあり、演劇のやりやすい土地だと思います。これはとても豊かなことだと思います。今回の市民演劇もほとんど素人で年代も多様な人たちが同じものを作りますから、とても豊かな体験ができていると思います。

―上演が終わりましたが、今後の展開や目標を教えてください。
都市部に比べると文化的な要素に乏しいように見えますが、雲南市は都会にはない魅力をたくさん持っています。この地域だからこそできる演劇、そこに行かなければ見ることができない演劇が生まれる場所だと思います。演劇の世界でも都市部集中ではなく、地方に目を向けられる時代になればいいですね。今回の市民演劇では年齢も職業も多様な人たちとのつながりができました。このつながりを是非とも活かしてまた演劇を作っていきたいです。
現在三刀屋高校演劇部では、全国大会直前の8月7日に「ヤマタノオロチ外伝」大阪公演を計画しています。コンクールやフェスティバルではなく、単独の学校が都市部の大きな劇場を借りて自主公演を打つというのはあまり例のないことですが、島根県、あるいは雲南市の魅力や高校生の文化活動を広く知ってもらう絶好の機会であると同時に、生徒にとっても貴重な体験になると思っています。予算面や集客など、まだまだ課題も多くありますが、なんとか実現させたいと思っています。

<編集後記>
とてもいい雰囲気の中で部活動が行われていました。ひとつひとつ妥協することなく、常にいい舞台にすることを目指しているように感じられました。今年の夏も全国大会出場が決まっており、これからの活躍がますます楽しみです。
また、市民演劇の『異伝ヤマタノオロチ』では雲南市に市民演劇という新たな渦ができ、地域に根ざした演劇が雲南市から始まりそうです。

東京で演劇ライターとして活動していらっしゃる小川志津子さんが雲南市民演劇「異伝ヤマタノオロチ」の制作現場を取材してすてきな記事を書いておられます。
http://www.ai-ni-iku.comを是非ご覧下さい。




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