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これまでの雲南市(雲南市ブランド化プロジェクト)

人の幸

第6回 恩田哲男さん

ホタルは自然環境のバロメーター
恩田哲男。雲南市大東町大東在住。映写技師やタクシードライバーとして勤務し、平成9年で退職。30年ほど前から、職務のかたわらホタル保護活動を始め、その活動をきっかけに昭和58年には赤川ほたる保存会も結成。当初から保存会活動の中心的役割を担う。その熱い想いが共感を呼び、同年には全国で2番目となる「ほたる保護条例」も制定された。自宅ではゲンジボタルを室内飼育し、約6万匹もの幼虫を毎年赤川に放流するなど、現在も精力的に活動中。

雲南市大東町といえば「ホタル」。
年5月下旬から6月中旬頃にホタルが乱舞し、多くの人が訪れます。
かつて農村部では、ごく当たり前の夏の風物詩でしたが、高度経済成長とともに護岸整備や水質の悪化などにより各地でホタルが激減しました。
しかし、大東ではたくさんのホタルが舞うのです。
そのきっかけとなったのが、恩田哲男さんです。

ホタル保護に取り組むきっかけは、タクシー客の案内
タクシーの運転手をしていた頃、遠方からのお客さんに「ホタルを見たい」といわれ案内しましたが、想像以上にホタルの数が少なく「こんなはずじゃ・・・」と思ったのがきっかけです。

それから昭和53年にホタルの飼育を始めたので、もう30年ほどになります。当時はホタルに関する資料がほとんどなく、先進地の山口県や大学の先生に相談するなど、いろいろな人との出会いに助けられました。

赤川ほたる保存会の結成と保護条例の制定
私の活動が次第にメディアに取り上げられるようになると、数人の仲間が集まり「ほたるの会」を開催して視察を行うようになりました。同会を母体に、昭和58年4月には現在の「赤川ほたる保存会」を結成するに至りました。

会の発足と同時に、ホタルを保護するための仕組みづくりを進めたところ、たくさんの方々にご理解いただき、昭和58年5月、当時の大東町臨時議会で「ほたる保護条例」が可決されました。(この条例は、合併した雲南市にも引き継がれています。)当時はユニークな条例として、全国的にも話題となりました。

条例は、ほたるの保護・増殖を目的とし、捕獲禁止区域などが定められています。
制定をきっかけに、地元の赤川を管理する島根県土木部にも、積極的にホタルが生息できる環境づくりに取り組んでもらえるようになりました。

そして昭和59年には「赤川ほたる公園」が完成。ホタルが棲める「ホタル工法」で、赤川の護岸改修を行ってもらいました。「こんなところでは飛ばないだろう」と地域住民の方々から言われましたが、カワニナを放流するなど、懸命に保護活動を行っていると、よう化するために水中から上陸している幼虫の姿を発見しました。すぐに近くの人を呼んで実際に見てもらって感動したことを覚えています。

その後、赤川は国土交通省のラブリバーにも認定され、平成12年には全長約400mの河川公園となる「七夕公園」が完成しました。ここでも、中州と土手の間に幅3mほどの水路が設けられ、ホタルが生息しやすいように工夫されています。

保存会の活動
会員数は、当初20名ほどでしたが、現在では個人174名、企業会員15社に参加いただいています。 活動としては、幼虫やカワニナの放流、ホタル発生状況の調査、学校や公民館での講話、ほたる公園の清掃・草刈などを行っています。ホタルが舞う時期には、20時~22時まで付近の街路灯を消点灯して回ったり、たくさんいらっしゃるお客さんの対応を行ったりしています。 毎年、6月中旬頃に赤川ほたる鑑賞バスを運行。今年は6月13日、14日に運行しますので、たくさんの人に鑑賞して欲しいですね。

ホタルの種類や生態について
世界では、約2000種類のホタルが確認されています。(日本にいるのは約50種類)
驚くことに世界中のほとんどのホタルは陸生で、水生のホタルはたった6種類が確認されているのみ。
日本のゲンジボタルやヘイケボタルは珍種中の珍種なんです。
また、光らないホタルもいますよ。

赤川のホタルは、ほとんどゲンジボタルですが、ヘイケボタル、ヒメボタルなど5種類が見られます。 ゲンジボタルは、ヘイケボタルよりも大きく発光も強いのが特徴で、卵を産む数も多いんです。また、ヘイケボタルはある程度水が汚れていても生きられるのですが、ゲンジボタルは、汚れた水を好みません。ただ、餌となるカワニナは珪藻類を食べるので、ある程度の養分も必要です。

ホタルは、5月~6月に交尾し、水辺の風通しの良い、湿りのある苔や草の根元の所に卵を産みます。7月にふ化すると、その後は半年以上を水の中で過ごします。この間、6回の脱皮を行って、桜が咲く頃に上陸。土の中で土繭から蛹へと変化し、上陸から約70日でふ化します。成虫は夜露だけを飲んで生き、交尾、産卵を行い、次の生命を残していくんです。

ふ化してからの寿命は長くてもメスで2週間、オスは3週間ほどです。 光り方にも微妙に違いがあり、これによりオスとメスとを見分けていると考えられています。つまり、ホタルの光は、オスとメスが出会うための光通信のようなもので、次の生命をつなぐ重要な役割を担っているんです。

ちなみに、関西と関東のホタルでも光り方が違います。関西では2秒型(2秒間隔で明滅)、関東では4秒型(1秒明+3秒滅)で、関西の方が優雅な感じがします。フォッサマグナの線上では、3秒型も確認されています。

ホタルの見頃
"桜の見頃から70日後"を基準に、ホタル保存会でも見ごろを予想しています。
今後の天候にもよりますが、今年は13日ごろではないでしょうか。

見頃を迎えても、天候により飛ばない日もあります。雨上がりで風がなく、気温20℃以上で、湿度の高い夜がお勧めです。

時間帯としては、20時~21時頃まで。21時頃を過ぎ夜露が降りるようになるとホタルは休みますし、雨の日は羽が濡れてしまうので飛びません。
また、餌や水害の状況により、年によっても違います。

今年は5月12日に、大東町田中でホタルの発生を確認しました。
桜の開花が例年より早かったので、ホタルの発生も早いと思っていましたが10日も早い発生には驚きました。

-桜も咲く期間はわずか、ホタルも舞う期間はわずかで、ともにその年の気候により左右されるなど、似てますね。

恩田さんにとってホタルとは?
ホタルは、"友"以上のもので、ホタルに元気をもらい生かされているようにも思います。

川は、元来蛇行する性質をもっていますが、人間の都合で真っ直ぐに改修することがあります。川の蛇行により、生物が棲める環境が生まれ、瀬には瀬の、淵には淵の生物が生息できるんです。赤川のホタル工法による護岸整備では、中州を設けるなど工夫してあり、いつの間にかヨシノボリやメダカなど、魚も帰ってくるようになりました。
50年かけて自然環境が破壊された川を、元の自然環境に戻すには100年かかると言われます。ホタルを通じて、自然豊かな川が甦り、子ども達が川で遊ぶ姿が多くなってくれるといいですね。

(取材中、ホタル工法による七夕公園では、小学生が川で遊んでいました。)

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